抗菌コートや防カビコートをエアコンのアルミフィン/熱交換器に使うのは危険?劣化や異臭、引火、白い粉など壊れる可能性を解説

エアコンの熱交換器に
抗菌コートは平気なの?

(一社)防カビ技研の記事をご覧いただきありがとうございます。

こちらではエアコンクリーニング業者から質問の多い「抗菌コート・防カビコートをエアコンのアルミフィンに使ってもいいの?」という疑問にお答えします。

結論

危険なので成分が分からない場合は使用しないでください。

防カビ剤・防腐剤とは?

防カビ剤はビニールクロス、床ワックス、ペンキ、プラスチック樹脂などに混ぜ込まれているもの。プラスチックの表面に使う被膜剤に混ぜられているもの。などがあります。

また防腐剤は、もともと木材のセルロースなどを栄養としている「腐朽菌」から守るものとして作られました。よって木材用防腐剤とも呼ばれます。

実は様々なものに防カビ剤は使われている

日本は多湿環境なので、様々な素材に防カビ剤が使われています。知らないうちにカビから守られているのです。

しかし防カビ加工されていない素材や防カビ剤の効果が無くなった素材には容赦なくカビが発生します。そして胞子は人体に有害で菌糸は悪臭を放ちます。

そのうちの1つが2~3年経ったエアコンです。

これはプラスチック樹脂の防カビ作用がなくなったわけではなく、樹脂の表面に付着した微細なチリ・ホコリが固まり、そこにカビが発生しています。

その微細な凸凹はブラッシングと共に傷つき大きくなるので、一度でもカビが生えてしまったら、次のカビが生えやすくなるということです。

防カビ剤が効果を発揮するには

素材に混ぜ込まれている防カビ剤とは違い、液体の防カビ剤(スプレー式やボトルで売られているもの)は、対象面の表面に残ってこそ効果を発揮します。

防カビ剤の成分を見ると、「アクリルやウレタン樹脂」「高分子ポリマー」「ポリエステル系樹脂」など対象物の表面で固まる素材を使っています。

上記の成分は防カビ剤と混ざりにくいので製造が難しく、とても高い値段で取引されています。

例えばアクリル樹脂の防カビ剤をシャーレの上で乾燥させると画像のような状態になります。

つまり床ワックスに似た被膜が完成します。

危険行為

このような被膜を形成する防カビ剤をアルミフィン(熱交換器)に塗布すると以下画像のようになります。

熱交換器の表面や内部で被膜が形成されて目詰まりを起こしています。アルミフィン全体がこの被膜で覆われると空気の循環が悪くなるのは当然です。

さらに耐熱性がない樹脂剤や防カビ剤を使っていると、暖房で使用しているときに成分が劣化して黄変します。

この黄変は通常のアルカリ洗剤では取れないのでシンナー等を使いますが、今度はプラスチック樹脂が溶けてしまうという事態になります。

引火する恐れがある

当研究所の実験ですが、シャーレ上で乾燥させたアクリル樹脂、ウレタン樹脂をライターの火に近づけると引火します。ボッと音を立てて瞬時に燃えます。

よってもしエアコンが何かしらの影響を受けてショートしたときに樹脂を形成する防カビ剤を使っていると、一瞬のうちに火災へつながる恐れがあります。

どのような抗菌・防カビ剤が適切?

繰り返しとなりますが、防カビ剤は対象面に残ってこそ効果を発揮するので、対象面に残留する「樹脂」「ポリマー」はとても効果的です。

しかしエアコンのアルミフィンには全く合わないので、防カビ剤の成分が分からない場合は使用しない方がいいでしょう。

または樹脂を配合していない防カビ剤を使います。

ただし繰り返しとなりますが、防カビ剤が効果を発揮にするには対象面に残る補助成分が必要です。

その成分がない防カビ剤は結露水、風などで徐々に飛ばされてしまうので十分な効果を発揮できません。

結論

よって、防カビ剤の成分が分からない場合は、エアコンに対して防カビ剤を使うのは避けた方が賢明です。

間違った使い方をすると、アルミフィンが酸化して白い粉が出続けるのでクレームに発展します。

成分が理解できるプロ業者は複数の防カビ剤を使い分けて防カビコートをしています。使い分けることで最長3年間ほどはカビの発生を抑えられるかもしれません。

エアコンクリーニングのオプションである防カビコートを活用したい場合は「防カビコートPRO技術講習↗」をお勧めします。